細胞培養で用いる赤い液体は何?

細胞培養で用いる赤い液体は、「培地」と呼び、この液の中に細胞を漬け、インキュベーター内で温度・湿度・空気組成を保って細胞を培養します。
現在使われている培地の多くは、1959年にEagle博士により発表された(イーグル最小必須培地(Eagle’s minimal essential medium:EMEM))をベースとしています。
EMEMは人工的に塩・アミノ酸・糖(グルコース)・ビタミンを混ぜた液体であり、細胞と等張なので細胞に浸透圧のダメージを与えず、かつ細胞に最低限の栄養を供給します。

EMEMは本来赤くありません。ではなぜ「赤い液体」なのかというと、フェノールレッドというpH指示薬が添加されるのが一般的だからです。

一般的に多くの細胞はpH7.0付近、つまり中性の条件を好みます。フェノールレッドを入れることで、現在の培地が細胞に適したpHなのかを一目で判断でき、いつ培地交換をすればいいのかが分かります。
フェノールレッドはpH7.0付近では赤色ですが、酸性寄りになると黄色に、アルカリ性寄りになると赤紫色に変色します。

培地の色が黄色、つまり酸性寄りの場合は、ほとんどの場合は培地内の細胞が多すぎて、その代謝物(乳酸など)が多く培地中に放出されることが原因です。また、カビやバクテリアなどのコンタミネーションが発生した場合にも、それらの微生物が増殖して代謝物を放出し、培地が黄色くなります。

培地の色が赤紫色、つまりアルカリ性の場合は、なんらかの原因によって培養時のCO2濃度が下がっていることが原因です。培地のほとんどはCO2 5%の条件下で中性になるような組成となっていますが、培養時のCO2濃度が低下すると、中性を保てずアルカリ性になります。また、細胞を培養しているプレート・ディッシュをインキュベーターの外に置きすぎると培地がアルカリ性に寄ってしまうので、作業が終わったらすみやかにインキュベーター内に戻すのが肝心です。

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