受精卵と細胞運命

わたしたちのからだは60兆個〜100兆個の細胞からできています。これらの細胞をさかのぼると、みな一つの同じ細胞、受精卵にたどりつきます。わたしたちのからだは、この受精卵が分裂を繰り返すことによって出来上がるのです。

からだを構成する細胞は、生殖細胞と体細胞の2種類に大別されます。生殖細胞は卵子と精子になる細胞で、親の遺伝子を次世代に伝えるための特別な細胞です。生殖細胞以外の細胞は体細胞と呼ばれ、皮膚や血管、肝臓などの器官や組織を構成しています。

からだを構成する細胞の始まりである受精卵は卵子と精子が融合してできる一つの細胞です。精子と卵子は、減数分裂という特別な分裂を経てつくられ、通常の細胞の半分の染色体しか持っていません。卵子と精子が融合して受精卵になると、染色体の数は普通の細胞と同じ数となります。

受精が完了すると、発生がはじまります。受精卵は、同じDNA配列を複製しながら分裂を繰り返します。分裂を繰り返すにつれて、均一な細胞の集団が不均一な細胞の集団へと変わり、「胚」へと移行します。そして特定の細胞集団に含まれている細胞が将来どんな細胞になるのかという細胞の「運命」が徐々に決まっていくのです。

細胞の運命は、おおまかに3つに分かれていきます。
将来神経系や皮膚になる外胚葉
筋肉や血管になる中胚葉
肝臓や膵臓などの内臓器官になる内胚葉の3つです。
3つに分かれた細胞は、例えば外胚葉においては感覚器になるか、神経系になるか、皮膚になるか、神経においてはどのような種類の神経になるか・・・というようにさらに細かく分かれていきます。発生においては、運命はいったん決定されると大きく変更されることはないといわれています。すべての細胞は1つの受精卵から受け継いだ同じDNA配列を持っていますが、それぞれの細胞で、使われている遺伝子と使われていない遺伝子の組み合わせが異なるため形や機能の異なる細胞になるのです。

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